奇遇
七合目に到着
小休止してから再び歩を進める。
この沢の入り口みたいなところを登って行く。
しばらく行くとどうやら様子が違う。
木々が行く手を阻む。あまり人が歩いて無い感じが明らか。
足元も水量が増えてきた。
「あ、間違ったな・・・・・」
取りあえず10分ほど来た道を先ほどの七合目まで戻る。
「おかしい、道がない・・・・」
暫く他のコースがないかあちこち探してみた。
道なき道を戻れるだろうと思って進んでみるがいざ戻ろうとすると
自分の歩いた軌跡がわからない。
(きっとこうやって道迷いするんだ。)
帰ろうかと思ったがやはり最初に行ったコースしかない。
(これでわからなければ戻ろう。)
再度沢道に向かって歩いていくと今度はすんなり左折する登山道を発見。
「えっ?」
そんなもんだ。
道はいつも気付かないところにあるものなんだ。
山には色んな事を教えてもらえる。
ソロのときは特にそう思う。
登山道を発見して少し登って行くと上から下りてくる同年代であろう男性とすれ違う。
「こんにちわ!」
「ここから先は滑るんで気をつけてくださいね。」
「ありがとうございます、ここは初めてでさっき七合目を過ぎて真っ直ぐに登って道を間違えたんですよ。」
いかにも良い人そうな雰囲気だったんでついそんなことを口走った。
「私もなんですよー!」
彼からは予想もしなかった一言が!
「私もここは初めてでそこで間違えてしまって、降りてきたときに人に教えてもらったんです!」
全くの奇遇で驚いた(笑)
彼は話し続けた。
「本当は違う山に行ったんですが凄く混んでてこちらに来たんです。」
「この山は静かでいいですねー。」
「はい、やはり山はこうでなくっちゃ!!」
満面に山好きの笑顔を浮かべて話す彼の顔がとても印象的だった。
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